【体験談】僕の知っているSESの実態と問題点

プロジェクトリーダーとして要因調達のためSESの技術者との面接も担当し、SESの技術者をプロジェクトメンバーとして迎え入れていた経験から、SESの実態や問題点など、思うことを発信してみようと思います。

目次

SESとは何なのか

SESとは、System Engineering Serviceの略です(と言われても、言葉が示す意味が広そうでピンと来ません)。
SESとは、ソフトウェアの開発、保守、運用のうち、契約によって定められるある特定の業務に対して、技術者を提供するサービスです。

例えば、ソフトウェア開発の場合は、「あるシステムの開発をお客様から依頼されているが、開発規模が大きく自社メンバーでは開発しきれない!」といったときに、そのシステムの開発に合ったスキル(開発言語、フレームワーク、業務知識等)を持った技術者に来ていただいて、常駐先企業のメンバーと一緒にシステムの納品を目指したりします。

特徴

大きな特徴としては、成果物に対して責任を負いません。労働時間に対してのみ報酬が発生します。常駐先企業の社員は質の良い成果物を完成させるのが使命あるのに対して、SESのメンバーは指示された仕事に決めれた時間数だけ取り組むのが使命です。
この点は、派遣契約と一緒です。

派遣契約との違い

派遣契約とは違っていて、準委任契約という契約で、技術者に来てもらいます。
派遣契約の場合は、指揮命令権が派遣先企業にありますが、準委任契約は派遣契約とは異なり、SES企業に指揮命令権があります。

給与が支払われるまでの流れ

常駐先企業とSES企業との間のお金の話

常駐先企業とSES企業との間で、「月の労働時間の対価として、常駐先企業からSES企業にいくら支払います。」という契約をします。
契約した時間以上働いた場合は、超過した時間に応じて追加で支払います。不足している時間に応じて控除されます。

また、労働時間には幅が設けられていることがほとんどで、月あたり決められた下限時間から上限時間の間で働く契約をします。「140時間~180時間/月」の間で働く契約をするのをよく目にします。

契約額については、技術者のスキルによってピンキリです。未経験の方だと月30万だったり、スキルのある方だと月100万以上だったりしました。ちなみに僕は、開発経験を積ませたいという理由で無料同然(月1万)の契約を目にしたことがあります。その無料同然の方には、SES企業が給与を負担してお給料をもらっていたはずですが…。

SES企業と労働者との間のお金の話

常駐先企業から支払われた額から、SES企業の運営に必要な費用が引かれて、SES労働者に支払われます。
例えば、SES企業の営業職や事務職の人の給与だったり、税金だったり、SES労働者の社会保険だったりが、想像しやすい費用だと思います。

SES契約までの流れ

STEP
人材を確保したい企業がSES企業の営業に、ほしい人材の条件を伝える

SES企業の営業の方にメールをして、不足している人材の条件を連絡します。
プロジェクトの期間や必要なスキルを伝えます。

  • プロジェクトの期間
    例)20XX年XX月~20XX年XX月。
  • 担当してもらいたい工程
    例)詳細設計、コーディング、単体テスト、内部結合テスト
  • 開発言語やフレームワーク
    例)Java、Spring Framework
  • 経験年数
    例)3年以上
STEP
マッチしそうな人材を紹介してもらう

条件にマッチしていそうな人材を探してもらって、スキルや経歴を記載した資料を送ってもらいます。
SES企業によってフォーマットは異なりますが、だいたい以下のような資料が送られてきます。

業務内容

このスキルシートですが、SES企業も契約が欲しいので、経験上盛って書いてあることが多いです…。

STEP
面接

良さそうな人が見つかれば、面接を依頼します。面接には、常駐先企業のPMや現場担当者と技術者に加えて、SES企業の営業の方が同席し、本当にスキルシートに記載のスキルがありそうなのか、確認します。

面接後、SES企業の営業の方に、OK or 見送り の返事をします。
技術者は並行して別の企業とも面接を進めていることが多く、OKの返事をしたとしても来てもらえるとは限りません。

STEP
契約

来てもらえることになれば、個別契約書を取り交わして契約を結びます。

僕とSESとの接点

働いていた会社のこと

僕の前職は受託開発を行なっている会社でした。会社の規模は正社員30名程の小さな会社ですが、顧客は小売業界の大企業ばかりで、要件定義から開発、運用まで担当する1次請けの会社でした。

僕の立場とSESとの接点

僕は初めはプログラマーとして、3年目以降はプロジェクトリーダーとして、いくつかのプロジェクトに関わってきました。

プログラマーとして、とあるプロジェクトを担当していた時、同じプロジェクトメンバーとしてSESの人が3名いて、一緒に仕事をしていました。この時はSESが一体何なのか、どういった契約なのか僕自身意識してませんでしたが、仕事としては3名はコーディングや設計資料をまとめたりしていたと思います。

そして、プロジェクトリーダーを任せもらっていたとき、プロジェクトマネージャーとしての役割も一部担っていて、プロジェクトメンバーを探さなければならない場面に遭遇しました(所謂、要員調達です)。ここで初めてSESの実態を知ることになりました。

僕の考えるSESの問題点

その壱 人材紹介と中抜きで得するSES企業

SES企業が別なSES企業から人材を紹介してもらうというケースも多々あります。
そうすると、技術者に支払われる給与はもっと少なくなります。面接で気を付けていないと、SES企業Aに支払う金額に対して、スキルが低い技術者がやってきて、常駐先企業の人も困るしSESでやってきた技術者も困ります。嬉しいのはSES企業だけです。
ちなみに先ほど、SESの契約前に「常駐先企業とSES技術者とSES企業の営業の3者で面接する」と書きましたが、この中抜き構造の場合は、「常駐先企業とSES技術者とSES企業Aの営業の3者で面談する」ことになります。SES企業Aの社員ではないSES技術者は、SES企業Aの営業とは初対面!

その弐 SES技術者のスキルアップの機会が得られにくい

自社の社員であれば、業務の中でも徐々に難しい仕事を任せてみて仕事を教えたり、スキルアップする機会が用意されていると思います。

しかしSESの人の場合、契約期間が終了したらお終いなので、教育したとしても常駐先企業にとってメリットが無いため、常駐先では基本的にはSESの人に対して教育しません(プロジェクトを進行するために最低限必要な知識を補うことはあり得ます)
スキルがある人(書類や面接をしてスキルがあるように見える人)に来てもらって、その人の能力で出来る範囲で仕事をお願いすることになります。

思うところ

SES企業にとっては、人材を雇って外部に人材紹介するだけで簡単に売上を確保できる。また、SESを利用する企業の視点に立つと、突発的にマンパワーが必要になったときに人員を増強できる短期的なメリットがある。(スキルを持った技術者やノウハウが社内に蓄積されないデメリットと引き換えに!)
短期的にはSESを提供する側、利用する側の双方にメリットがあるので、きっとSESは無くならない。
それに、技術者目線だと、自社開発や受託開発を行う企業に就職できなかったり、フリーランスになれない未経験ITエンジニアの受け皿となっているから、きっとSESは無くならない。

でも、このSESの構造を知らないままSES企業に入社してしまって後悔してほしくないなと思います。SES企業のステマや悪質なプログラミングスクールに騙されずに、SESの真実を知って企業を選んでほしい。

企業を選ぶためにも、業界知識とどんな企業でも通用するスキルを身に着けておいたほうが良いでしょう。

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